住所録が使えない!? 終了予定だった、はがきデザインキット2021年版を調べてみた

「はがきデザインキット」2021版の紹介サイト
画像:はがきデザインキット

年賀状を簡単に作れる、郵便局の人気サービス「はがきデザインキット」。その2021年版がリリースされました。このニュースを聞いて「2020年でサービス終了では?」と疑問に思った人も多いはず。そこで、2021年版はがきデザインキットについて調査してみました。

「はがきデザインキットがサービス終了」の真相

このサイトでも記事にしましたが、はがきデザインキットはサービス終了を報じました。しかし、それはサービスの「一部」だけ。2020年版で終了したサービスは下記の通りです。

  1. はがきデザインキットのウェブ版
  2. インストール版&スマホアプリ版のネット印刷サービス
  3. クラウド住所録サービス

上記3点について、それぞれ説明します。

【終了したサービス1】ウェブ版

はがきデザインキットは2020年までは「インストール版」「ウェブ版」「スマホアプリ版」の3種類が用意されていました。そのうち、ブラウザで使用できるウェブ版が使用できなくなりました。

つまり、インストール版とスマホアプリ版の2種類はサービス継続で、2021年版としてリニューアル。後述する2つの機能は使えなくなりましたが、年賀状の制作自体は可能です。

なお当サイトの記事では「2021年に向けてテンプレートが追加されることはない」と説明しましたが、これは完全な間違い!2021年としてデザインは刷新されています。誠に申し訳ございませんでした……。

【終了したサービス2】ネット印刷サービス

インストール版とスマホアプリ版は2021年版が用意されましたが、2020年でネット印刷サービスは停止となりました。そう言うと「自宅プリンターだけでしか印刷できないのか」と思われそうですが、さにあらず。

セブン-イレブンのプリンターや、郵便局が用意する「はがきデザインキット 印刷サービス」という別サービスに連携。セブンイレブンなら店舗へ印刷に行く必要がありますが、郵便局のサービスなら完成した年賀状を自宅に郵送してくれます。

【終了したサービス3】クラウド住所録サービス

更新されたインストール版とスマホアプリ版でも、2021年からはクラウド住所録が利用できません。しかし、インストール版には「あて名印刷」機能があり、住所録の管理や宛名面印刷もPCのローカル環境上で使えます。来年にはデータの移行が必要になりますが、それでも今年は問題なく利用できるでしょう。

なお、クラウド住所録のデータは2020年3月31日までにダウンロードしておかなかった場合は、現状ではダウンロード不可。悲しいことに1から作り直してなります。

「はがきデザインキット」2021版の紹介サイト。インストール版
画像:はがきデザインキット

はがきデザインキットと印刷サービスの特徴

はがきデザインキットと、それに連携する印刷サービスについてまとめてみました。

 はがきデザインキット
デザイン数 400種類以上
コンビニ 印刷(セブン-イレブン)
印刷代 普通紙(直接印刷) 1枚80円
 はがきデザインキット 印刷サービス(郵便局)
印刷代 普通紙(直接印刷) 1枚140円
写真用紙(印画紙貼り合わせ) 1枚170円
喪中・寒中 1枚130円
割引 なし
送料 810円
宛名印刷 無料
受け取り方法 ゆうパック
納期 15時までの注文で翌日に発送
決済方法 クレジットカード
コンビニ・郵便局決済(手数料200円)
キャリア決済(手数料200円)
※スマホアプリ限定。docomoとauは12月頃に導入

はがきデザインキットの特徴

はがきデザインキットのインストール版とスマホアアプリ版について説明します。

ソフトの利用料金は無料

インストール版とスマホアプリ版ともに利用料金はゼロ。印刷費用はかかりますが、アプリ版でも課金などはありません。郵便局の印刷サービスというよりも郵便局による無料ソフトというニュアンスが強く、手軽に試せるのがポイントです。

「はがきデザインキット」2021版のアップルストア
画像:はがきデザインキット(アップルストア)

デザイン数が王道で高品質

デザイン数はインストール版が660種類以上、スマホアプリ版が400種類以上となっています。インストール版の方が多いですが、メインとなる絵柄はスマホアプリ版でも利用できるので、体感的に数字ほどの差はありません。

むしろインストール版だと「テンプレート素材を探す」からテンプレートを検索しなければならず、スマホアプリ版よりも操作性に劣ります。つまり、どちらを選ぶかは自宅環境と好み次第でしょうが、個人的にはスマホアプリ版が直感的なのでオススメです。

デザインの分類の仕方もインストールとスマホアプリ版で異なります。利用者が多いであろう、かつオススメのスマホアプリ版のデザインは「写真あり」と「写真なし」に大別され、下記のようにカテゴリ分けされています。

写真あり
和もの 71
カワイイ 60
ポップ 11
オシャレ 51
全面写真 2
DM作成 19
写真なし
和もの 109
カワイイ 16
ポップ 8
オシャレ 43
喪中・寒中 28

多いのは「和もの」と「オシャレ」のカテゴリ。どちらも王道で、質の高いテンプレートが揃っています。

ただし、専門の印刷会社が提供する年賀状印刷サービスと比べると、無難なデザインが多い印象です。他社はアーティストなどによるイマドキなデザインに注力していますが、はがきデザインキットはある種“ベタ”なデザイン中心。個人の感想ですので一概には言えませんので、自分で他社のデザインと見比べてみるのがベターでしょう。

自分に合った印刷方法を選べる

はがきデザインキットで作った年賀状を印刷する方法は3つ。「自宅のプリンター」「セブンイレブンでのプリンター印刷」「郵便局の印刷サービス」です。

例えば「費用を抑えたいから自宅のプリンター」「品質にこだわりたいから郵便局で印刷」と使い分けが可能。三者三様の特徴があり、自分にあった印刷方法を選べるのが、はがきデザインキットの魅力でしょう。

連携する印刷サービスの特徴

先に説明した3つの印刷方法について、価格や特徴を交えて説明いたします。

自宅のプリンター

インストール版とスマアプリ版ともに、自宅のプリンターで印刷できます。自宅のプリンターなので費用は年賀はがき代とインク代となり、インクが切れていないなら最安値で印刷可能。さらにインストール版なら住所録に対応しているので、宛名印刷も利用できます。

一方で、印刷精度が大型プリンターに劣ることがウィークポイント。さらに、印刷に失敗することがあることや、印刷している間は問題が起きないようプリンターを見ていなければならないことも、短所に挙げられます。

セブンイレブンのプリンター

セブンイレブンのプリンターはスマホアプリ版のみ利用可能。価格は1枚80円となります。整備されたプリンターなので不具合が起こりづらく、自宅プリンターと同様、その場で印刷し終えた年賀状が手に入るのが長所です。

ただ、価格は自宅プリンターに、印刷精度は郵便局の印刷に劣ります。自宅のプリンターがない場合は費用を抑える選択肢となりますが、それ以外はプリンターが不調だったり、インク代が高くついたりと、あくまで代替手段としての側面が強いと思います。

「はがきデザインキット」2021版の紹介ページ。コンビニはがきプリントの解説
画像:はがきデザインキット

郵便局の印刷サービス

郵便局の印刷サービスも、スマホアプリ版のみ利用できます。印刷メニューは「普通紙」「写真用紙」「喪中・寒中」の3つ。普通紙は年賀はがきへの直接印刷で1枚140円、写真用紙は印画紙の貼り合わせで1枚170円、喪中・寒中は通常はがき(胡蝶蘭)への印刷で1枚130円です。なお写真用紙以外は、はがきの四隅に5mmのフチが入ります。

当然、専門プリンターなので印刷は高クオリティ。一つ一つ入力しなければなりませんが、宛名印刷も利用できます。さらに納期も15時までに注文しておけば翌日出荷で、最短で翌々日には到着します。他社の印刷サービスと比べて、かなりのハイスピードです。

一方で、自宅やセブンイレブンのプリンターより印刷費が高く、送料も810円かかります。そのため「はがきデザインキットを使って高品質な年賀状を作りたい」「年賀状作りにこだわりたい」という人向けの選択肢になります。

はがきデザインキットのメリットとデメリット

はがきデザインキットの特徴をおさらいします。メリットとデメリットを改めて確認ください。

・最新デザインの年賀状を手軽に作れる
・自宅のプリンターで印刷できる
・セブンイレブンのプリンターで印刷できる
・郵便局で印刷する場合でも納期が早い
・ソフトかアプリをダウンロードする必要がある
・スマホアプリ版だと宛名印刷が手間
・来年も年賀状を作りたい場合、住所録の管理が面倒

年賀状の印刷枚数別に料金をチェック

もしプリンターをお持ちでない場合、セブンイレブンか郵便局で印刷することになりますが、どれくらいリーズナブルなのでしょうか? 具体的に「何枚注文するとお得になるのか」をシミュレーションしました。

「10枚」「30枚」「50枚」「100枚」の年賀状代を算出。消費税は込み。郵便局で印刷すると送料がかかりますが、除外しています。

セブンイレブンで印刷した場合の料金

枚数 印刷費 年賀はがき 合計
10枚 800円 630円 1430円
30枚 2400円 1890円 4290円
50枚 4000円 3150円 7150円
100枚 8000円 6300円 1万4300円

印刷会社に年賀状をネット注文した場合、はがきへの直接印刷の相場は10枚で2500〜3000円、30枚で4500〜5000円、50枚で6000〜6500円、100枚で1万1000〜1万1500円(12月に実施した各社の早割で算出)。

基本料金がない分30枚以下までは相場を下回りますが、それ以上だと枚数を印刷すればするほど高くつきます。

郵便局の印刷サービスした場合の料金

普通紙の場合

枚数 印刷費 年賀はがき 合計
10枚 1400円 630円 2030円
30枚 4200円 1890円 6090円
50枚 7000円 3150円 1万150円
100枚 1万4000円 6300円 2万300円

はがきへの直接印刷の場合は、セブンイレブンでの印刷よりも高価。傾向はセブンイレブンでの印刷と同様ですが、30枚ですでに相場よりも高くつきます。価格だけでみると、お得と言えるのは10枚まで。これに送料810円がつくので、全体的に料金は高めと言えます。

写真紙の場合

枚数 印刷費 年賀はがき 合計
10枚 1700円 630円 2330円
30枚 5100円 1890円 6990円
50枚 8500円 3150円 1万1650円
100枚 1万7000円 6300円 2万3300円

印刷会社に年賀状をネット注文した場合、印画紙貼り合わせの年賀状相場は10枚で3000〜3500円、30枚で5500〜6000円、50枚で7500〜8000円、100枚で1万3000〜1万4000円(12月に実施した各社の早割で算出)。

結果は、年賀はがきへの直接印刷とほとんど。10枚までは相場を下回りますが、30枚からは高値となります。

少ない枚数の場合はセブンイレブンでの印刷もアリ

セブンイレブンでも郵便局でも、基本料金が設定されてない分、枚数が少ないと安く、増えると高くなる料金体系。いずれでも10〜20枚なら損はなく、セブンイレブンでの印刷は使い勝手を考えればお得と言えるでしょう。

また、プリンターのインクカートリッジは、メーカーや替える本数にもよりますが1000〜6000円くらいかかるはず。インクをわざわざ買い足すよりも、セブンイレブンでの印刷のほうが30枚前後までならコスパが高いと思います。

はがきデザインキットは「凝った年賀状を手軽に作りたい人」にオススメ

当サイトをはじめ、ネットの各所で「サービスが終了した」と報じられた、はがきデザインキット。しかし、機能は制限されたものの、2021年版もめでたくリリースされています。

使い勝手や安心感は目が見張るものがあり、年賀状制作の「無料ソフトとして」はとても秀逸です。一方で自宅プリンターがない場合、つまり「印刷サービスとして」利用する場合は、価格的には印刷会社の他サービスと比べて優良とは一概に言い切れません。

ただ、印刷する枚数が少ないようならリーズナブル。加えてデザイン性や操作性が自分に会っているなら、有力な選択肢となるでしょう。

これらを踏まえると、スマホで写真年賀状は次のような方にオススメです。

・自分で年賀状を作りたい人
・年賀状を少数だけ作りたい人
・自宅のプリンターで印刷したい人
・年賀状を早く印刷したい人