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年賀状づくりで、意外に困るのが宛名の書き方。会社に送る場合や手書きのマナーなど、正しくルールを守らないと失礼にあたることも。そこで、当記事では正しい書き方や送る際のマナーなどをガイドします。
年賀状の基本と宛名の書き方
失敗を避けるためには覚えておきたい年賀状の基本を紹介。正しい宛名の書き方を学べば、年賀状の見栄えも自然と良くなるでしょう。
年賀状の表・裏
年賀状の表と裏は、はがきと同じ。受け取る人の宛名を書く面が「表面」、賀詞やイラスト、写真、文章を載せる面が「裏面」です。年賀状作成ソフトや文書作成ソフトなどでは、表面のことを「宛名面」、裏面のことを「文面」と呼ぶこともあります。
宛名のマナー
年賀状は1年の始まりに受け取るもの。中でも宛名は年賀状を受け取った人が最初に確認するところなので、しっかりとマナーを守り、丁寧に書くことが大切です。特に名前の間違いは相手に意識が向いていないことを意味し、失礼にあたります。一般のはがきや郵便物以上に、漢字や敬称などに間違いがないかに注意し、全体のバランスにも気を付けてください。
宛名は手書きした方がいい?
パソコンやプリンターが普及する前は、手書きが当たり前だったため、「プリンターで宛名を印刷すると失礼」という考えも一部でありました。しかし、近年はプリンターで宛名を印刷するのが一般的になったため、手書きにこだわる必要はなく、印刷でも問題ありません。枚数が多いと書き間違えしやすくなるので、プリンターを使用した方が無難でしょう。
正しい宛名の書き方
住所
郵便番号の小枠の右側2つの中心に合わせて書き始めます。できるだけ2行以内に収まるように書くと読みやすく、見た目も美しく仕上がります。
目上の方や取引先に送る場合は、都道府県名から記載しましょう。番地の数字は、縦書きの場合は漢数字、横書きの場合はアラビア数字で書きましょう。
郵便番号を記入し忘れたり、間違った番号を記入したりすると、失礼にあたるだけでなく、通常よりも到着に時間がかかってしまう可能性があります。正しい郵便番号を記入するように気を付けてください。
アパート、マンション、ビルの名称
住所の1行目に都道府県名~番地を書き、アパート、マンション、ビルの名称などは2行目に書きます。1行目の都道府県名~番地よりも一回り小さい文字にすることを意識して、1行目の書き出しの高さよりも少し下げた位置から書き始めるとバランス良くなります。
アパート名やマンションの名称を省略して、番地の後に「-」で続けて部屋番号を書くケースも増えていますが、建物の名称が分かっている時はできるだけ省略せず、きちんと記載するのが無難でしょう。
肩書きや敬称の付け方
「肩書き」と「敬称」は似たイメージがありますが、実はまったくの別物。「肩書き」は、会社や団体などの組織の中で、どのような地位にあるのかを表したもので、相手を敬う意味は含まれていません。一方の「敬称」は差出人(自分)と相手の関係を表すもの。文字通り、相手に対しての敬意が含まれています。
そんな肩書きと敬称の付け方には次のようなルールがあります。
○○株式会社 △△部 部長 年賀太郎 様
個人名の最後にだけ「敬称」を付けます。
■間違った例
○○株式会社 △△部 年賀太郎 部長
○○株式会社 △△部 年賀太郎 部長様
肩書きだけをつけたり、肩書き+敬称にしたりするのは間違いです。
○○株式会社 御中
○○株式会社 △△部 御中
会社名もしくは部署名の後に「御中」をつけます。
■間違った例
○○株式会社 御中 △△部 御中
○○株式会社 △△部 様
○○株式会社 △△部 御中 年賀太郎 様
社名と部署名の両方に御中をつけたり、社名・部署名に敬称をつけたりするのはNG。また、社名・部署名+御中の後に個人名を続けるのも間違いです。
相手の氏名
相手の氏名は、住所や差出人の氏名より、やや大きめに書きます。表面の中央、郵便番号を記入する大きな3つの枠のうち、真ん中の枠の下から書き始めるとバランス良く書けます。氏名の前に社名や部署名を書く場合でも、氏名が表面の中央に来るように、社名や部署名は少し右にずらして書くようにします。
宛名が連名の場合
家族や夫婦など複数の人にはがきを送るときは、それぞれの名前に敬称を付けるのが基本。家族全員宛など、人数が多い場合は「○○家御一同様」としてもOKです。
差出人情報のマナーと書き方
差出人情報のマナー
裏面に差出人の住所・氏名を書くパターンもありますが、年賀状はスペースが限られているので、差出人情報は表面にまとめるのがオススメです。なお、差出人情報を裏面に記載する場合は、重ねて表面に記載する必要はありません。
差出人の住所氏名の書き方
表面を縦書きにした場合、差出人の住所氏名は切手の幅、もしくは差出人の郵便番号枠の幅に収まるように書くこと。電話番号やメールアドレスを加えるのもアリです。引っ越しや転勤で住所が変わったときは、その旨を付け加えておくと◎。また、新しく家族が増えたときは、子どもの名前に「ふりがな」を付けておきましょう。
ケース別 敬称の書き方
個人に送る、企業や団体に送る、企業に所属している個人に送るなど、年賀状の送り先はさまざま。正しく敬称をつけるために、敬称の書き方をケース別でチェックしていきましょう。
個人に送る場合
個人に送る場合は、「様」をつけます。
敬称としては「様」のほかに「殿」が使われることがありますが、「殿」は自分より目下の人に対する敬称とされています。目上の人に対して使うのは失礼にあたります。年賀状では、オールマイティに使える「様」を使用するのが一般的です。
家族や夫婦に送る場合
家族や夫婦などに年賀状を送るときは、連名にしてそれぞれの名前に敬称を付けます。
花子 様
会社に送る場合
会社に送る場合は「御中」をつけます。
部署に送る場合は部署だけに「御中」をつけます。
会社に所属している特定の人に送る場合
会社名には御中をつけず、人名に「様」をつけます。
肩書きを入れる場合
役職などの肩書きを書く場合は、名前の上に小さめに書きます。肩書きと敬称は一緒に書かないのがルールです。例えば、課長様、社長様のようには書きません。
恩師や医師などに送る場合
恩師や医師、弁護士、政治家などには「先生」を使います。親しい関係であれば「様」でも問題ありません。
○○病院 年賀太郎 先生
年賀状をより好印象にみせるテクニック
年賀状は裏面のデザインや文章ばかりに力を注ぎがちですが、表面も気を抜けません。表面にも気配りや工夫をすれば、年賀状全体の印象がさらに良くなりますよ。
宛名を手書きする
年賀状の印刷が一般的になっている今だからこそ、表面だけでも手書きにすると温かみが伝わる年賀状に仕上がります。特に毛筆やペン習字に覚えのある方は手書きにすれば、年賀状の印象がアップ。人間的な魅力もアピールできます。
宛名を手書きする場合は、ボールペンは避けて、毛筆や筆ペン、万年筆を使うのがマナーとされています。これは新年のお祝い事では、毛筆などのような太くて力強い字の方が受け取った側の印象が良いとされているためです。
ただ、慣れない毛筆やペンよりもボールペンの方が気持ちを伝えやすいのであれば、ボールペンで書いても問題はありません。毛筆や筆ペンに慣れていないなら、年上や目上の方には筆ペン、それ以外にはボールペンと使い分けるのも良いでしょう。
宛名をまっすぐに書く方法
縦書きに不慣れで、まっすぐに文字をそろえるのが苦手な方は、あらかじめ鉛筆で中心線を薄く下書きするのがオススメ。筆ペンや万年筆のインクが乾いたら、中心線を消しゴムで消してください。年賀状を少しでも汚したくないなら、定規を横に置き、補助線代わりにしながら書く方法もあります。
宛名のフォントを変える
宛名をプリンターで印刷する場合、書体によってイメージが大きく変わります。基本は、奇をてらわずベーシックな明朝体や筆書帯を使用すること。特に、縦書きの年賀状には毛筆風の筆書体がよく合います。年賀状ではポップな書体はできるだけ避けるのが無難です。
年賀はがきのサイズと重さ
「はがき」として送ることができるのは、以下のサイズと重さのものになります。それ以外のものは「定形外郵便物」の扱いとなり、料金も異なるので注意しましょう。
■通常はがき
重さ:2g~6g
最大サイズ:長辺15.4cm 短辺10.7cm
最小サイズ:長辺14cm 短辺9cm
■往復はがき
重さ :4g~12g
最大サイズ:短辺15.4cm、長辺10.7cm×2
最小サイズ:短辺14cm、長辺9cm×2
正しく宛名を書いて、印象アップ!
たかが宛名、されど宛名。年賀状の宛名にはさまざまなルールとマナーがあります。正しく書けば受け取る人からも、より好印象になるはず。印刷でも手書きでも、新年のお祝いとして受け取る人のことを考えながら、正しく、美しい宛名を目指してください!